re- (red-)

「re-」は「後に(zurück)」という意味の前綴りである。ここから、「後に向かって戻る」「戻って~する」「もう一度~する(wieder)」などの意味が派生してくる。また、ここから「二度、二度目」というニュアンスが出てきて、さらには「二つのものが対照的・対抗的にな関係にある(wider)」という意味も出てくる。なお、発音のしやすさの関係から、形が「red-」となることもある。
reddo, reddidi, redditum, reddere
re-(戻)+dare(与える)。つまり、「返す」。ドイツ語の「zurückgeben」(geben = dare)。
reduco, reduxi, reductum, reducere
re-(戻)+ducere(導く)。つまり、「戻らせる」。ドイツ語の「zurückführen」にあたる(führen = ducere)。また、イタリア語の「ridurre」、スペイン語の「reducir」、フランス語の「réduire」、英語の「reduce」はここから生じている。もっとも、意味は抽象化して「減少させる(する)」となっている。
reflecto, reflexi, reflexum, reflectere
re-(後へ)+flectere(曲げる)。つまり、「後へ曲げる」「方向を180度変える」。イタリア語の「riflettere」(反射する、反映する)、スペイン語の「reflectar」(反射させる)、「reflejar」(反射する)、「reflexionar」(熟考する)、フランス語の「refléter」(反射する、反映する)、「réfléchir」(熟考する)、英語の「reflect」(反射する、熟考する)はここから生じている。現代語では「熟考する」という意味も出てきているが、日本語の「省みる」(返り+見る)と発想は近いといえる。
reporto, reportavi, reportatum, reportare
re-(後へ)+portare(もって行く)。つまり、「持ち帰る」。また、情報を持ち帰るということから「報告する」という意味も出てくる。イタリア語の「riportare」、スペイン語の「reportar」、フランス語の「rapporter」、英語の「report」はここから来ている。日本語でも「レポートを書く」などという。
repugno, repugnavi, repugnatum, repugnare
re-(対抗)+pugnare(戦う)。つまり、「対抗して戦う」、「反抗する」。また、抽象化して「矛盾する」という意味も出てくる。スペイン語の「repugnar」(~は嫌いだ)、「repugnarse」(矛盾する)という語はここから来ている。
revenio, reveni, reventum, revenire
re-(後へ)+venire(行く)。つまり、「戻る」「帰る」。スペイン語・フランス語の「revenir」はここから来ている。ドイツ語でこれに相当する言葉は「zurückkommen」である(kommen = venir)。
revoco, revocavi, revocatum, revocare
re-(戻)+vocare(呼ぶ)。ここから、「呼び戻す」という意味になる。また、抽象化して「原状に復旧する」という意味も出てくる。イタリア語の「revocare」、スペイン語の「revocar」、フランス語の「révoquer」、英語の「revoke」は、いずれもここから来ている(意味はいずれも「撤回する」。日本語の「撤回」の「回」も発想としては「re-」に類似する)。また、これに相当する言葉はドイツ語では「widerrufen」である(rufen = vocare。「wiederrufen」ではないので注意)。