ラテン語の地名

現在使用されているラテン語の地名には、
  1. ローマ時代に実際にラテン語で名づけられたもの(現地名は別にある)。
  2. ローマ時代の名前はなかったが、ラテン語で文書を書く必要性から現地名をラテン語風にしたもの。
の二種類があります。

後者のほうが類推しやすいともいえますが、いずれにせよ、現代語の地名とかけ離れていて、たいへん分かりにくくなっています。ここで分かりやすくまとめておきます。

Argentoratus (Argentoratum), Argenturati (f.(n.))
アルゲントラートゥス(アルゲントラートゥム)。現在のフランス共和国ストラスブール市(Strasbourg)。ドイツ語ではシュトラスブルク(Straßburg)。
Batavia, Bataviae (f.)
バターウィア(バタヴィア)。概ね現在のオランダ王国に相当する地域。
Bohemia, Bohemiae (f.)
ボヘミア。現在のチェコ共和国チェヒ地方(Čechy)。ドイツ語ではベーメン(Böhmen)。
Bonna, Bonnae (f.)
ボンナ。現在のドイツ連邦共和国ボン市(Bonn)。
Borusssia, Borrussiae (f.)
ボルシア。旧ドイツ帝国プロイセン州(Preußen)。
Britannia, Britanniae (f.)
ブリタンニャ(ブリタニア)。概ね現在の連合王国イングランド及びウェールズに相当する地域。
Caledonia, Caledoniae (f.)
カレードニャ(カレドニア)。現在の連合王国スコットランドに相当する地域。
Colonia Agrippina, Coloniae Agrippinae (f.)
コローニャ・アグリッピーナ。現在のドイツ連邦共和国ケルン市(Köln)。イタリア語ではコローニャ(Colonia)、フランス語・英語ではコローニュ(Cologne)、オランダ語ではクーレン(Keulen)、ポーランド語ではコローニャ(Kolonia)。
Corea, Coreae (f.)
コレア。朝鮮のこと。
Cracovia, Cracoviae (f.)
現在のポーランド共和国クラクフ市(Kraków)。
Dacia, Daciae (f.)
ダーキャ(ダキア)。概ね現在のルーマニアに相当する地域。
Gallia, Galliae (f.)
ガッリャ(ガリア)。概ね現在のフランス共和国に相当する地域。
Hispania, Hispaniae (f.)
ヒスパーニャ(ヒスパニア)。概ね現在のスペイン王国に相当する地域。
Iaponia, Iaponiae (f.)
ヤポーニャ。日本のこと。
Moguntiacum (Mogontiacum), Moguntiaci (Mogontiaci) (n.)
モグンティアークム(モゴンティアークム)。現在のドイツ連邦共和国マインツ市(Mainz)。イタリア語ではマゴンツァ(Magonza)、フランス語ではマヨワンス(Mayence)。
Moravia, Moraviae (f.)
モラヴィア。現在のチェコ共和国モラヴァ地方(Morava)。ドイツ語ではメーレン(Möhren)。
Neapolis, Neapolis (f.)
ネアーポリス。現在のイタリア共和国ナポリ市(Napoli)。ドイツ語ではネアペル(Neapel)、フランス語ではナプル(Naples)、英語ではネイプルズ(Naples)。
Polonia, Poloniae (f.)
ポローニャ(ポロニア)。現在のポーランド。
Posnania, Posnaniae (f.)
現在のポーランド共和国ポズナニ市(Poznań)。ドイツ語ではポーゼン(Posen)。
Praga, Pragae (f.)
プラーガ。現在のチェコ共和国プラハ市(Praha)。ドイツ語ではプラーク(Prag)、フランス語ではプラグ(Prague)、英語ではプレイグ(Prague)。
Saravia, Saraviae (f.)
サラーウィア。現在のドイツ連邦共和国ザールラント州(Saarland)。
Silesia, Silesiae (f.)
シレジア。現在のポーランド共和国とチェコ共和国にまたがる地方。ポーランド語ではシロンスク(Śląsk)、チェコ語ではスレツスコ(Slezsko)、ドイツ語ではシュレージエン(Schlesien)。
Sina, Sinae (f.)
シナ(支那)。中国のこと。
Tolosa, Tolosae (f.)
トローサ。現在のフランス共和国トゥールーズ市(Toulouse)。
Varsovia, Varsoviae (f.)
現在のポーランド共和国ワルシャワ市(Warszawa)。