prae-

「prae-」は「前に・先に(vor)」という意味の前綴りである。
praebeo, praebui, praebitum, praebere
prae-(前に)+habere(持つ)が約まったもの。つまり、「与える」、「供与する」。
praecipio, praecepi, praeceptum, praecipere
prae-(先に)+capere(取る)。つまり、「先取りする」、「予想する」。また、相手の行動を先取りするということで、「命じる」。ここから、イタリア語の「precetto」、スペイン語の「precepto」、フランス語の「précepte」、英語の「precept」はここから生じた(いずれも名詞)。
praefero, praetuli, praelatum, praeferre
prae-(前に)+ferre(運ぶ)。文字通り「前に運ぶ」。或るもの(対格)を或るもの(与格)の前に運ぶ、というところから、抽象化して「(対格)を(与格)より好む」という意味が出てきた。今日残っているのはもっぱらこちらのほうで、イタリア語の「preferire」、スペイン語の「preferir」、フランス語の「préférer」、英語の「prefer」である。ドイツ語では「vorziehen」(ziehen:引く)といい、現在でも与格と対格で表現する。
praeficio, praefeci, praefectum, praeficere
prae-(前に)+facio(する)。つまり、「リーダーにする」、「ボスにする」。能動態の名詞形は「praefector, praefectoris」(ボスに任命された人)であり、受動態の名詞形は「praefectura, praefecturae」である。ここから、イタリア語の「prefettura」、スペイン語の「prefectura」、フランス語の「préfecture」、ドイツ語の「Präfektur」、英語の「prefecture」はここから生じた(いずれも名詞)。
praesto, praestiti, praestitum (praestaturus), praestare
prae-(前に)+stare(立つ)。つまり、「前に立つ」。ここから抽象化して「抜きん出る」、「他の人(与格)より優れる」。
praesum, praefui, -, praeesse
prae-(前に)+esse(いる)。つまり、「リーダーである」、「ボスである」。